50年もののヘネシー

以前赤坂のバーに行ったときの話

赤坂のホテルに泊まっていたのだが これまであまり赤坂で遊んだことがない。 よって、開拓してみたい気持ちもあり一人酒敢行。 前日ホテルに着いたとき目をつけていた店もあるし。

しかし、なかなかうまくいかないものである。 赤坂って週末、多くの店が閉まってるか早めに閉めてしまう。 赤坂の待ちをぶらつき始めたのはいいのだが、いい店みつからない。ぶらつくだけでも楽しかったけどね。TBSとか初めて見たし。

最終的にいい店みつけるのだが、そこにたどり着いたのは既に夜1時すぎ。はしごして3件目である。諦めて帰ればいいのに前の2件の店がしょぼかったのが悔しくてついつい行ってしまったのである。

その3件めのお店は、赤坂見附の駅前にある地下の細い階段を下りたところにあるショットバー。誰も客がいない。そらそうだろう。週末が人が少ない赤坂。しかも深夜なんだから。
でもこういうの大好きだ。誰もいない雰囲気のいいショットバーで客一人。バーテンとゆっくり話もできる。

ショットバーのバーテンさんの知識と話術はかなり重要。どれだけお酒を愛しているか、そしてそれを素人の客に如何に押しつけがましく話せるか。ノリのいいバーテンさんと騒ぐのも好きだけど、お酒の話題を中心にグラスを傾けながら話すのも好きだ。前者のバーって結構沢山あるのだ。しかし後者の方ってなかなか見つからない。
今まで僕が行った中のNo.1は大分駅の近くにあるとあるショットバーです。会社の施設が大分にあり、出張で出向くことが多かったので行く度に通ってた。予定を無理矢理調整して前日入りしたり、当日帰れない状況にわざとし、大分駅前のホテルに泊まって晩飯のあと出向いてた。
ここでシングルモルトのことを色々教えてもらい、好きになりました。

で、この赤坂のバーその大分のバーに匹敵するところでした。バーテンさん2人いて、若い方の人なんだけど、酒のこと楽しく語るのだ。最初の1杯目は、山梨産の洋なしをつかったカクテル。表の看板にこれが書いてあったのだ。すり下ろした洋なしをカルヴァドス(リンゴから作るブランデー)に注いだ単純なカクテル。高級な大人の「すりおろしリンゴのお酒」ですな。(最近めっきり見なくなったね、すりおろしりんごの缶ジュースとお酒。)
すりおろされた洋なしの味を殺さないように、カルヴァドスが浸るくらいしか入ってないのでもうお酒な感じがしない。男が一人で飲む酒かいな、これ?なんて思いながらも甘いお酒好きなので美味しくいただきました。


それをきっかけにしてブランデーの話が始まった。このバーテンさん最近ブランデーに目覚めたらしい。ブランデーはかなり面白いお酒で、長期間の熟成に耐えられる数少ないお酒らしい。100年とか平気で熟成できるらしい。 最初は樽に入れて熟成させるけども、先に樽がだめになるから途中で別の容器に移し替えるとか。
と色んな話を聞かせてもらっているうちに、
「50年もののヘネシー」があるという話になった。思わずいただいてしまう。香りの口の中での広がりが違う!少しなめるようにして口に含むだけで、口の中に葡萄の甘いかおりが広がる。
そしとずっとそれが持続する。ブランデーが葡萄から作られていることを今まで忘れてたよ。

それからバーテンさん、昔のヘネシーはよかったんですけどねえ・・・なんて話を。今の日本酒とか焼酎と同じで、大手メーカーのお酒は小さなメーカーを買収してブレンドされどんどん質が落ちてきているということ。今のヘネシーはカラメルの味がするっていう。おいらにはそこまでわからん・・・今のヘネシーでも美味しくいただけてしまうので・・・

にしても、50年ヘネシーとんでもなくうまいのでちびちびだけど、はしゃぎながら飲んでると目の前に沢山ボトルを並べ始めた。一つづつ丁寧に説明を加えながら。

これを作っている農家のおじさんはいい人で・・・とかはヘネシーやレミーマルタンなどの大手がその農家を買収しようと狙っててやばい状況・・・だとか、100年実際に熟成させるには一人ではできないので世襲制で農家のおじさんが代々やってる・・・とか
この二つのボトルは同じ畑の葡萄でできたけど名前が違う。それは世襲するときに息子が居なくて婿をとったら、婿が勝手にブランド名を変えた・・・とかとか。

まあ、こっちが興味もって聴くもんだから話だしたら止まらなかったんだな。で、こちらも楽しくなってきたので進められた50年ものの小さい農家で作ってるブランデーを飲む。
「ブランデーなのにマンゴーの香りがしますよ。」
すごく特殊な形をしたグラスで出てきた。説明は難しいけど、グラスを相当な角度まで傾けないと飲めない形になっている。そういえばさっきドイツにいたときに、安いもんだからワイングラスを沢山買って飲み比べた話をした。それを聞いて出してくれたらしい。
また、このグラスがナイスチョイス。なかなかブランデーが口の近くまで接近しながらなかなか到達しないので口にする前の香りを感じやすくなっているのだ。 ようは楽に口の前、つまり鼻先でブランデーを止められるのだ。

このブランデーすごい!
ほんとにマンゴーのあま〜い香りがする。濃厚な。口に含むと、口中にまとわり着くように甘くて濃厚が香りが広がり、長く余韻が残る。ほんま幸せでした。

なんて感じで飲んでて気が付くと閉店時間の深夜4時になってました。
そして最後にお勘定。桁が一つ違ってました・・・
そら2杯も50年もののブランデー飲んだからしゃあないわ。ここで飲まなかったら、一生飲まなかったかも知れないし。