タワーブリッジはHydraulics

今年3回目のロンドン滞在だったのだが、常宿にしていたのがとある大学の寮で、その場所がタワーブリッジから徒歩圏内だったということでタワーブリッジは毎日のように目にしていた。そういう「慣れ」もあってか、僕の中では当初「ちょっと立派な古い橋」程度の印象しかなかった。

しかしおそらくはこの今年3回目の滞在をもってしばらくロンドンには訪れないであろうことから、タワーブリッジを登ってみることにした。そうタワーブリッジは入場料を払って上に上れるのです。(タワーブリッジ・エキジビションという。公式サイト→http://www.towerbridge.org.uk/TBE/JP/Exhibition/)ちなみに二つの太い塔を上の方でつないでる細い通路"Walk ways"からロンドン市を一望できます。まあ、その日は天気がよくせっかくなので上らないと損的な気持ちで上っていて、タワーブリッジそのものへの関心はかなり低かったです。
↓2つの塔の上部をつないでるのが"Walk ways"

↓Walk waysからの眺め。

↓Walk ways内では、画家さんが絵を描いてたりもします。

してタワーブリッジを上に上がるにはらせん階段を上ります。その途中にタワーブリッジの歴史を説明する短い映画が上映されていて自由にみることができます。らせん階段は結構段数があるので休憩がてら、何の気も無く見ていました。興味が薄いのでボーっと見てました。するとある単語が耳に入ってきた。その単語というのは"Hydraulics"です。Hydraulicsというのは液圧(油圧・水圧)の意です。「タワーブリッジの橋の開閉はHydraulics(液圧(油圧・水圧))の機構が用いられている」と映画の中で話しているのです。
なぜHydraulics(液圧(油圧・水圧))に引っかかっているかというと、私の機械設計者としての専門分野がまさにHydraulicsだからです。しかしまあ、自分自身の鈍さに若干あきれましたが。なぜなら、あれだけ大きい機構を動かすのには、、Hydraulics(液圧(油圧・水圧))を以てする以外考えられないんです。それを専門家も自分が気づかなかったことにかなりがっかりしたのです。
自分にがっかりしたりしたものの、一気にこのタワーブリッジに興味が沸いてしまいました。それはもう、一般の人からみればかなりマニアックに。実際どのような機構で動作しているのかを知りたくて仕方がなくなってしまいましたのです。単純なものです。
↓こんなパネルもあって発狂寸前

ちなみに、この上に上れるタワーブリッジ・エキジビションにはまた別のオプションが含まれていて、タワーブリッジが実際に開閉している機構の展示も見ることができるのです。願ったりかなったりでかなり舞い上がってしまいました。余りに真剣に時間をかけて見ているので他のお客さんから若干変な目で見られていましたが・・・
展示されているものは、実際に当時使われていたものがほぼそのまま置かれています。レプリカの可能性は低いと思い増す。マニアックですが昔の自動潤滑油供給機がついてますから(僕はこれをみて一人感動に浸っていました。(苦笑))。

またとても関心したのが今もメンテナンスされていて実際に動いているところを見せてもらうことができます。すばらしいです。この姿勢。この管理を考えると入場料7ポンドなんて安いもんです。
↓保存状態がすばらしい!!



簡単にタワーブリッジの機構を説明すると・・・石炭つかってボイラーで水を沸かす→その蒸気圧で水圧ピストンを押して蒸気圧を水圧に変換→その水圧を蓄圧機に溜め込む→時間がきたら溜めた圧力を開放して、その圧力で橋を開閉する。
↓機構簡略図

ま、よくわかんないですよね。蒸気機関車の石炭を燃やして蒸気機関で発生した力を直接車輪に伝えて走ることに使ってる。タワーブリッジの場合は、水圧機構を使って蒸気機関の力を溜め込みかつ、より大きな力に変えてるんです。水圧の機構が無ければ、あれだけ巨大な機構を動作することは不可能だと思います。

ちなみに今は蒸気機関車が電車に取って変わられたのと同じ道をたどり、1976年(僕の生まれた年!)にボイラーは電気モーターと水圧ポンプに置き換えられています。その装置の外観写真がありましたが、あたくしの会社の最大最強のライバル会社が電気モーター&水圧ユニットの供給をしておりますです。

タワーブリッジに登って、ロンドン市外を一望することはもちろん、忘れずに機械の展示も楽しんで欲しいです。かなり貴重な展示です。推測ですが、上って降りて終わりの人多いのではないかと。この機械の展示なのですが一旦タワーブリッジの塔の中から外に出て、橋を渡って行ったとこにある橋げたの根元に入口があるので、塔を下りてきてから確か"Engine room"と書いた青いラインが橋の上に引いてあるのでそれをたどって行けば機械の展示に行き着きます。また青いラインは通常歩行者が歩けない東側の歩道上にあり、普通見られないタワーブリッジかわ東側の風景も眺められるのでこれも忘れずに。
↓東側の眺め。

この日展示を見学したのは午前中でちょうどお昼になったので展示場入口のすぐ脇のパブで昼飯。
なかなかいい雰囲気の店だったし、お昼のBBQセットもうまかったです。あ、当然昼からグイッとエールも一杯いただきました。だってパブだったんだもん。
食べたのは、"Tzattiki"というギリシャ料理。エールは大好きなSPITFIRE。