地震

突然でした。
一週間の仕事の終わりが迫り、最後の追い込みをかけ始めた、金曜日午後3時ごろ。

最初は軽い揺れだった。だから、最初はみんなまた軽い地震が来たか、と特に慌てもせず気楽に構えていた。揺れを無視して仕事を続けていた人間がほとんどだった。だがその揺れがこれまで経験したことないくらい長く続いた。すると、机の下に潜るものが出て来た。最初の揺れから30秒くらい経った後だろうか、揺れが急に大きなものに変わった。各従業員の机に1つずつ置かれているパソコンの液晶ディスプレイは、ほぼ全て倒れてしまい、ファイル棚の中からどんどんファイルが飛び出してくる。サイドボードの引き出しで、外に出飛び出したものもあった。

サスガにそういう状況になると全員机の下に潜り込む。どれくらい揺れが続いただろうか。1分くらいか?もっとあったか?おいらはちょうど大きな打ち合わせテーブルを5人で囲んで座っていたので、一つつのテーブルを4人で潜り込むことになった。1人は横に空いていた別のテーブルの下に潜った。4人のうち1人が携帯電話がつながらねえ!と焦っている。彼はテストベンチの現場で働いている部下達のことが気になっていたのだ。なのに、おいらは「何をそんなに携帯を気にしてんすか?」なんて軽薄な質問をしてしまった。大反省・・・

そして揺れがとまった。床には書類やファイル、またパソコンや液晶が転がっていて足の踏み場がないくらい。というか踏むのを避けてる場合でないので踏みつけて歩き、自分の席に即向かい上着をとり靴をはきかえ(おいらはオフィスではサンダルに履きかえているので)、即外に出た。

外に出ると、部署ごとにプラカードを持った人を先頭に並んでいたのでその後ろに続く。どうやらおいらは、上着をとったり靴を履いたりしてたせいで外に出てくるのが遅かったらしく、上司が焦って自分を探していた。

しかし、たまに避難訓練を実施しているとはいえ、実践でここまで秩序だった行動ができるのはすごいなと思った。日本人かつ、歴史のある規模の大きな製造業の工場で働いている人間はサスガに教育が出来ている。というか、そういう素養のある人間を採用するし、育てているのが事実か。これが、国外や規模の小さい数人のオフィスだと統率を取るのが難しいような感じがする。偏見かもしれないが。

そして、しばらく屋外にて待機することになる。小さな余震が断続的続く。そのたびに軽くざわめきが起こる。そして、若干冷静になって周りを見てみると、色々気がついた。
まず、みんなすごく寒そうにしていること。みんな、地震の揺れが収まると即屋外に出たみたいで、上着を来ていない人間がほとんどだったのだ。

それから、携帯を触っている人が多いこと。みんな自分や家族、親戚などの安否を確認したいのだろう。だが、地震直後は全然電話やSMSは繋がらなかった。ただ、3Gのインターネット回線はつながった。なので結構情報はとることができた。宮城県震源だということ、関西でも揺れがあったということなどなど。ネットやtwitterなどでどんどん情報は入って来た。あとメールの送受信はできた。驚いたのは、一番最初に自分に安否を確認してきたのは、なんと北京在住の中国人の友人だった。emailで安否確認の連絡をしてきた。色んな意味で驚いた。インターネットを通して、リアルタイムで世界がつながっていること。
また、中国でも、地震直後からかなり大きく取り上げられているということ。その友人は特に日本にとりたてて興味や関係のある人間ではないのだ。日本語ができるとか、日本のアニメやゲームが好きだとか、日本企業に務めているとか。そういうのが全くない。そんな友人が即emailで安否確認をしてくるっていうのは、相当大きく中国でも報道されていることが実感できた。

そういているうちに、揺れが若干少なくなってきたところで、「荷物を持って即帰宅せよ」との指示が出た。16時過ぎくらいのことだった。